2012年2月22日水曜日

イエメン大統領選ハディ氏当選へ

イエメン大統領選ハディ氏当選へ


2月22日 7時17分
中東のイエメンでは、内外の圧力を受け、辞任することになったサレハ大統領の後任を選ぶ大統領選挙が行われ、混乱の収拾に向けて与野党がそろって支持したハディ副大統領の当選が確実な情勢です。
イエメンでは、20年以上、権力の座にあったサレハ大統領が訴追を免れることを条件に辞任することに応じ、21日、後任を選ぶ大統領選挙の投票が行われました。
開票作業は続いていますが、現地の政府関係者によりますと、与野党がそろって支持した副大統領のハディ氏が投票総数の過半数を獲得し、当選が確実な情勢です。
ハディ氏は、「イエメンはこの選挙によって長い混乱から抜け出し、新しい歴史を切り開くことができる」と述べ、次の大統領として国の安定に取り組む考えを強調しました。
一方、イエメン南部や北部の広い地域では、21日、分離独立を目指す勢力や国際テロ組織アルカイダが投票所を襲撃したり、道路を封鎖して投票を妨害したりしたため、多数の投票所が閉鎖され、今回の選挙に治安の悪化の影響が出ています。
イエメン各地では、若者を中心とした反政府デモ隊が軍や治安機関に旧政権の幹部が留まっていることに強く反発し抗議行動を続けるなど課題が山積しており、次の大統領となるハディ氏は難しいかじ取りを迫られそうです。


イエメンで大統領選、ハディ氏の信任投票に-「アラブの春」4例目

【エルサレム時事】イエメンで21日、30年以上の長期政権を続けたサレハ大統領の後継として、暫定的に政権を担う大統領を決める選挙の投票が行われた。立候補者は与野党の統一候補、ハディ副大統領だけで、事実上の信任投票。高投票率により、国民の権限移譲プロセスに対する支持が示されるかどうかが焦点だ。
 中東で広がる民主化運動「アラブの春」で独裁的な指導者が退陣に追い込まれるのは、チュニジア、エジプト、リビアに次ぎ4例目。選出される暫定大統領は2年間の権力移行期間中に憲法改正を実施。改めて大統領選と議会選を行い、正式な新体制発足につなげる責任を持つ。
 ロイター通信によると、ハディ副大統領は首都サヌアで投票した後、「選挙がイエメンの危機から抜け出す唯一の道だ」と訴えた。
 サレハ氏は昨年11月、湾岸協力会議(GCC)の権力移行案に署名。反政府デモ弾圧などに対する免責特権を得る代わりに辞任を受け入れた。しかし、イエメン情勢は不安定要因が多く、選挙後に混乱収拾に向かうかは不透明だ。
 現在ニューヨークで治療中のサレハ大統領は帰国を示唆しており、今後も政界で影響力を残せば、これに反対する勢力が抗議行動を激化させる可能性がある。当初、サレハ氏の後継者とみられていた長男アフマド氏率いる精鋭部隊は武力を維持、暫定大統領が同氏とどのように協力関係を築くかが課題だ。
 一方、イエメン南部の独立派や、北部のイスラム教シーア派の反政府勢力は選挙ボイコットを宣言。南部アデンでは、独立派が投票所の約半分を閉鎖する事態に発展した。南部の複数の都市で21日も治安部隊と独立派の衝突があり、AFP通信によると、4人が死亡した。
 また、国際テロ組織アルカイダ系武装勢力の活動もなお活発で、国内融和実現の見通しは立っていない。


イエメンの首都サヌアで21日、大統領選の票を投じる昨年のノーベル平和賞受賞者、タワクル・カルマンさん(EPA=時事)
「祝福の日」と歓迎-ノーベル賞のカルマンさん


【エルサレム時事】2011年のノーベル平和賞受賞者でイエメンの女性民主活動家のタワクル・カルマンさんは21日、同日実施された大統領選についてサヌアの投票所で、「イエメンの人々にとって祝福の日だ」と歓迎、サレハ大統領の専制に終止符を打つ日になるだろうと評価した。AFP通信が伝えた。
 一方で、カルマンさんは選出される新大統領に対し、反政府デモに加わった若者たちのために働くよう求め、それが果たされなければ、「イエメンの若者たちはサレハ氏を追放したように、(新大統領を)退場させるだろう」と強調した。大統領選に立候補しているのはハディ副大統領のみ。

0 件のコメント: