少し日付がさかのぼりますが、8月13日・月(第1076号)の一面記事から
●「サレハ大統領、退役軍人の復職数増価:退役軍人は依然として懐疑的」
→1990年に南北イエメンは、一滴の血を流すこともなく平和裡に統合しました。しかしながらその後南北の指導者間の政治的緊張が高まり、1994年に旧南北両イエメン軍の衝突に端を発する内戦がありました。この内戦は最終的には旧南イエメン指導者が立てこもったアデンが陥落することによって終結しました(約2ヶ月で終息)。その後、旧南イエメンの軍人はほとんどが強制的に退役させられたのですが、そうした軍人の不満の高まりを受けて、サレハ大統領は「大統領令2007-65」で、380人の幹部(主として尉官、佐官レベル)の復帰を命じました。これは一連の軍人復帰の流れの中に位置づけられる第2弾で、すでに第1弾で913人が復帰しているそうです。この背景には旧南の軍人が「我々を冷遇し続けるなら、我々はアルカーイダに合流する」というような発言もあるようです。反政府の動きがアルカーイダなどを核として集結することを恐れるサレハ政権としては、予防的な意味もあるのでしょう。
●「マーリブの政府施設再度攻撃される:アルライミは依然逃亡中」
マーリブ州知事アレフ・アルズカは、「マーリブの発電所が8月9日木曜日の早朝、アルカーイダ信奉者によって、銃撃を受けた」と発表。
→7月2日のマーリブでのスペイン人観光客襲撃・殺人事件は、イエメン人にとっても非常に衝撃的でした。この犯行はイエメン人以外を含むアルカーイダ信奉者によって起こされたことは、これまでの「部族民による観光客誘拐」とは全く異質な次元で解釈されなければなりません。イエメン部族民による誘拐では、基本的に人質に危害を加えることはなく、単に政府に圧力をかける「人質」として外国人を利用するだけでしたが、アルカーイダによる襲撃は「外国人殺戮」それ自体が目的だからです。マーリブにアルカーイダ信奉者が増加することは、イエメンの数少ない外貨獲得産業である観光業界に対する打撃はもちろん、イエメン政府全体の安定性に大きな影響を与えます。このスペイン人襲撃事件の首謀者の一人と言われているカーセム・アルライミは、2006年2月にサナアの政治犯監獄から集団脱走した人の一人です。
(さとかん)
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