毎日新聞 2011年11月24日 1時12分(最終更新 11月24日 1時51分)
イエメン・サレハ大統領、権限移譲案に署名 権力の座去る
【カイロ和田浩明】野党勢力などの退陣要求に直面しているイエメンのサレハ大統領が23日、サウジアラビアの首都リヤドを訪問、サウジが主導する湾岸協力会議(GCC)や欧米が仲介した権限移譲案に署名した。
これにより、サレハ氏は33年間維持した権力の座を降りることになった。
AFP通信などによると、サレハ大統領は22日、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長と電話協議し、権限移譲案に署名後に治療のため米ニューヨークに向かうと述べた。事務総長が23日、記者団に語った。事務総長はさらに、サレハ氏が権限移譲後も大統領職にはとどまるとの見通しも述べた。
中東の民主化運動「アラブの春」で国家首脳が退陣に追い込まれるのは、チュニジア、エジプト、リビアに続き4人目。
複数の地元報道関係者によると、イエメンでは首都サヌア北部のハサバ地区や北方のアルハブ地区で23日も大統領派と反大統領派の戦闘が断続的に続いており、移譲案の受け入れが治安維持につながるか流動的だ。
GCC案では、サレハ氏は署名後30日以内に大統領権限をハディ副大統領に移譲。見返りとして、訴追免除と身の安全を保障される。これを受け、反大統領派も含めた新政権を樹立。サレハ氏の権限移譲後60日以内に大統領選挙が実施される。
サレハ氏はこれまで、3度にわたり調停案への署名を拒否。6月には大統領府での暗殺未遂事件で重傷を負いサウジで3カ月間治療を受けたが帰国。その後も退陣要求を拒否し続けていた。今回の突然の翻意について、地元通信社マリブ・プレスのアハメド・アヤイエド編集主幹は「反大統領派との戦闘が拡大し、大統領派が弱体化し始めたためではないか」と分析した。
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